たまろぐ
テツ的あれこれ妄想牧場。(※路線≒会社の擬人化前提注意です)
最近は管理人の備忘録と化してます。
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公文書で概要はある程度わかったので、書き起こした部分だけでも載せておこう。
ようするに、植村俊平社長の積極策により新宿へ延伸する予定だったのが
度重なる延長申請の末、東京市の循環道路計画もあって却下され、
かわりに学習院裏から分岐して、中央線高円寺駅を経由し
京王線下高井戸駅へ連絡する計画に変更したということなんですね。
それについては、地元民の方も歓迎ムードだったみたい。
以下、その文書。
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第一六八四号 大正十三年 八月一日 九月十二日
第一六三一号 大正十三年 七月十九日
王子電気軌道 巣鴨町 高田町間 工事竣功期限
延期許可 及 高田町 新宿町間 特許取得取消の件
案
(東京府経由)番号
王子電気軌道株式会社
大正十二年三月十二日附二七度第六七号
及大正十三年七月二日附三十度第二八号申請
巣鴨町・新宿町間工事竣功期限延期の件
巣鴨町・高田町間に限り
大正十四年三月二十六日迄許可す
軌道法第二十七條の規定に依り
明治四十五年七月十八日監
第一〇八〇号を以て特許したる軌道線路
北豊島郡高田町大字高田字高田千登世三十六番地、
四谷区新宿町大字三丁目十二番地間の特許を取消す
十三年九月十二日
鉄道大臣
内務大臣
官報掲載案
軌道特許失効 明治四十五年七月十八日王子電気軌道株式会社に対し
特許したる東京府北豊島郡巣鴨町、四谷区新宿町間軌道線路中
東京府北豊島郡高田町大字高田字高田千登世三十六番地、
四谷区新宿町大字三丁目十二番地間は指定の期限迄、
工事竣功せざる為特許取消せり (鉄道省 内務省)九月二十五日
通牒案
逓信者電気局長宛
通牒
王子電気軌道株式会社、巣鴨町、新宿町間軌道特許線路中
北豊島郡高田町大字高田字高田千登世三十六番地、
四谷区新宿町大字三丁目十二番地間、指定の期限迄に工事
竣功せざる為右特許取返也、候条了知相成度
(理由)
本延長線は既に数年延期を重ねたるも南目白、新宿間は
循環道路新設計画に伴ひ線路変更の出願中に係り
然も該循環道路の実現に近き将来に於て望むべがらざるの
状態に在り会社に於ても右区間の短縮せらるのことを
絶体に拒まざるものにして別紙の追申の次第もあり
旁々整理の意味に於て此の際伺案の通り処理可然と認む
追て会社は御右区間短縮に代ふるに別途出願延長線特許を希望せるも
之は他の出願とも関連するものあるを以て本件と分離審議することとせり
特許線路竣功期限延期願
明治四十五年七月十八日附監第一〇八〇号を以て御聴許相蒙り候
東京府北豊島郡巣鴨町地内既設特許線路終点より
西巣鴨町、高田町戸塚町大久保町を経て四谷区新宿町に至る
線路竣功期限は大正十二年三月二十六日に御座候処
本線路沿線は東京市郊外発展に伴ひ地価昂騰し
用地買収予期の如く進捗不仕且又地上物件の移転に付ても
建物密集せるを以て居住者立退に相当日時を要し居候事情に付
到底右期限内竣功致兼候間
大正十三年三月二十六日迄一ヶ年竣功延期の義御聴許被成下度
尤も用地買収は西巣鴨町を了し目下高田町地内交渉中に有之
工事も買収用地内に於て着々進行進行致居候に付
特別の御詮議相成度工程表相添へ此御奉願候也
大正十三年三月十二日
鉄道大臣 伯爵 大木遠吉殿
内務大臣 水野錬太郎殿
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△王子電気軌道巣鴨町新宿間工事竣功期限延期の件
特許 (明治)四五・七・一八
工事着手 (大正)六・三・二四
工事竣功期限 (大正)七・三・二三
第1回延期期限(大正)八・三・二六
第2回延期期限(大正)九・三・二六
第3回延期期限(大正)一〇・三・二六
第4回延期期限(大正)一一・三・二六
第5回延期期限(大正)一二・三・二六(本年二月二十二日許可)
今回延期期限 (大正)一三・三・二六(一ヶ年)
備考 巣鴨町(大塚)、内藤新宿間 三哩四十九鎖・軌間 四呎六吋
新宿・高田監特許線路一部変更申請書(会社提出工程表口参照)は府にて審査中
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新宿線特許放棄に関する答申書
先に特許を得たる当社営業線大塚終点より
新宿に至る軌道線路中大塚目白間は既に工事中にして
当年内には必ず運転開始可致 夫より新宿に至る間は
東京府環状道路を一致致し居候間 是に併用敷設可然旨
兼て東京府の内意も有之末 着手と相成居候処
今般東京市電気局が右区間に軌道敷設の希望を有し
市の費用を持って一時立替 府道路にも築造して
之に市電車線併用したき申出有之候趣
交通促進の意味に於て当社の該特許権を放棄しては
如何にとの御勧告有之 篤と熟慮致候処
至極 御尤もの義と存候の元 併本線路は元来
京王電車 新宿起点と連絡するを目的とし連絡の上は
是非両社を合併して交通機関の完成を計り度き旨
両社重役間の内談も有之候間 若し御内示に基き
該区画を打切るときは両社の久敷を期待したる希望は
永久に達せられざることと相成且つ目下工事中線路は
短距離なれ共 家屋密接致居候為め土地収用には多大の
費用を投じ候得共 其終点が市電又は省線停車場とも
距離ありて不便不少 交通上の効用を全ふせず
従て折角 投じたる多額の建設費に対し
其成績不良に終り可申 誠に遺憾に御座候間
新宿に至る代りに同特許線路中 学習院下より北折して
中野方面に延長し高円寺より堀之内を経て下高井戸に至り
京王電車線と連絡すれば兼ねて会社との内約も達成し得べく
尚当社投下資本に対しても他日相当有利の計画を得べき
見込みに付き特許特に前述の主旨御諒察の上何卒右新線路
特許有之候様 御詮議相成度 尤も該線路の義は既に
東京府へ願書提出致したるものに有之
若し特許を得たる上は直ちに用地買収に着手し
二ヶ年以内に高円寺迄は開通可致 確信を有し候へば
期限を附し特許被下候共 更に差又無之候此段答申候也
進で今般放棄する目白新宿間の線路は万一近き将来を於て
東京市電気局が軌道を敷設せざるときは従来の縁故に因り
特に当社に優先再特許相成候様御詮議相成度予め願上置候
大正十三年五月 日
王子電気軌道株式会社
取締役社長 植村俊平
鉄道省監督局長 岡田意一殿
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電気軌道敷設願
東京府下高田町落合村を経て中野町に至る方面は近来其発展著しく
工場受託激増する状況にあるも交通機関不充分にして北に武蔵野線
南に中央線が西行せるも此両線は最近二哩以上を隔て何れを利用するも
乗客は十四五丁を徒歩するの不便あり依て弊社が目下工事中の
新宿線を目白学習院裏より分岐して中央線高円寺駅を経て京王線
下高井戸に至る間別紙図面の通り電気軌道敷設致候はば
交通上の利便を増し郊外住宅地としての各方面の発展亦大なるもの
可有之而も弊社は相当利益を可得見込にして間該軌道敷設之義
何卒御許可被成下度関係書類相添此段奉願候也
大正十三年五月九日
東京府北豊島区西巣鴨町大字巣鴨九百六拾五番地
王子電気軌道株式会社
取締役社長 植村俊平
内務大臣 水野錬太郎殿
鉄道大臣 小松謙次郎殿
添付書類目録
一、起業目論見書
二、路線予測図
三、建設費概算書
四、運輸事業の収支概算書
五、軌道を道路に敷設することを得ざる事由書
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大正十五年三月二十九日
東京府北豊島区西巣鴨町大字巣鴨九百六拾五番地
王子電気軌道株式会社
取締役社長 植村俊平
鉄道大臣 仙石貢殿
内務大臣 若槻礼次郎殿
電気軌道敷設願
弊社と京王電車とは資本関係其他諸種の事情に於て密接なる連鎖を有するに付
弊社は両線連絡のため大塚、新宿間の特許を得て其一部工事施行中の処
過設目白、新宿間特許取消相成候に付弊社は両線連絡の路を失ひたるを
遺憾とし他の方法に依り之が完成を計り度実施調査の結果先に弊社が出願せる
目白、江古田間の一部より延長して野方町、中新井村、杉並町、和田堀内村等を
経て京王線下高井戸に至る路線尤も適当と存じ候に付該区間に軌道敷設致度
前地方は土地高燥にして住宅地として漸次発展の状態に御座欠得共何分
交通機関に乏しきため開発遅々なるを以て中新井は野方を始め地方有志者より
弊社へ対し用地買収其他特に便宜を計る可きを以て電車敷設せられ度旨の希望
一再に止まらざるに付同有志者と共に急速開通の為最善を可計候間何卒御許可
被可成下度関係書類相添へ此段奉願候也
添付書類目録
一、起業目論見書
二、路線予測図
三、建設費概算書
四、運輸事業の収支概算書
五、軌道を道路に敷設することを得ざる事由書
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陳情書
今般王子電気軌道株式会社より出願に相成候目白を起点として
高田、落合野方町を経て下高井戸に至る軌道は本町民多数の
歓迎する方向にして竣功の上は当町交通の利便非常に増加可致
ものと確信罷在候
且 同社は大塚より目白迄の延長線工事着手に相成居候間
其延長として引続き右線路を敷設致度希望の由
単に権利を獲得せんとする新会社と異なり一般に其の実現を
確実と認め居候間 冀(こいねがは)くば一足の落成期限を
附して至急許可相成候様御詮議相願度町民多数熱望に基き
此段陳情候成
大正拾参年拾月貳日
野方町町 深野亀太郎
同 助役 鈴木喜太郎
同町会議員 島崎秀五郎
同 佐伯辰五郎
同 窪寺忠次郎
同 花崎初太郎
同 吉田惣五郎
同 矢島粂五郎
同 窪寺寅吉
同 小出徳馬
同 小池長太郎
同 鈴木奥太郎
同 篠崎弥吉
同 菊田倉吉
同 篠 辰五郎
同有志総代 山崎松太郎
同 大野又蔵
同 大野(さんずい+菫)(がんだれ+義)
同 熊沢宗一
同 細田又平エ
鉄道大臣 仙石貢殿
内務大臣 若槻礼次郎殿
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ほんで、これがその新宿線。戸山学校の西側をいく計画だったみたいですね。
分岐線起点 東京北豊島郡高田町大字高田字稲荷1363番地とあります。
分岐線はそのまま東進してからおおきくカーブし、
中央本線の高円寺駅のところでクロスしています。
そして、そのまま南下して京王線下高井戸駅で終点です。
途中「大宮」の文字がみえるので、大宮八幡宮を経由しているんですね。
このころは玉電とも共通の資本だったので、玉電さんが下高井戸へ世田谷線を延ばした理由も
王電が下高井戸に経路を変更したことが関連あるのかもしれません。
その後の計画は、おなじ大正生命出身の金光庸夫さんが引き継いだようです。
あと、宛先が熱海の起雲閣の内田信也鉄道大臣だ!という発見つき。
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