たまろぐ 京王さんと王子さん2 忍者ブログ

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テツ的あれこれ妄想牧場。(※路線≒会社の擬人化前提注意です) 最近は管理人の備忘録と化してます。
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都電荒川線と京王電鉄の関わりについて・続きです。
まずは前の記事をご一読下さい。

玉川、京王、王子と、現存馬車軌間そろいぶみですが、そのどれにも、というか創業の大切な時期に森村開作男爵の東京森村銀行と、和田豊治社長の富士瓦斯紡績が面倒をみていて、その立て直しに井上篤太郎さんが人材派遣されている格好です。

以下は王電の社史から抜粋。

『王子電気軌道二十五年史』昭和十年十月十五日発行

 一方電車事業は、三輪線の工事を進め、四十五年五月その軌道工事に着手し、
更に同年七月十八日には巣鴨終点より内藤新宿に至る軌道敷設の許可を受け
同七月三十日には三輪車庫の竣工を見るに至れり。(p11)

 会社内部の動揺は尚ほ止まず、大正五年三月日本興業銀行に抵当の当社株式一万二千株(才賀氏所有)が
競売の結果北濱銀行に落札し、依って同年四月三谷軌秀氏北濱銀行を代表として社長となる。
 同年七月重役会に於て資本金一百万円(全額払込)を六十万円に減資し、
更に九十万円に増資するの件につき検討するところありたるも、
取締役中に減資の程度につき熟考を要するといふ意見あり、実現に至らずして終わる。
 更に同年秋、北濱銀行破綻に基因し、同銀行所有株式一万二千株を神戸鈴木商店、
東京森村銀行に競落の結果、再び重役に変動を来し、
同年十月三谷社長退き、次いで同月の臨時株主総会に於て植村俊平社長に、
榛葉良男氏常務取締役に、岡烈、宮本政次郎の両氏各取締役に就任す。
 同月、男爵森村開作、和田豊治の二氏を相談役に推薦す。永き内訌も、これにて漸く安定するに至れり。(p16-17)

〈大正〉六年六月に、目白線、江戸川線及び駒沢線に於ける電気軌道敷設願をなし、
十月十五日には、大塚三輪連絡船の工事認可申請
 大正六年五月岡取締役死去す、同年六月金光庸夫氏取締役に就任す。
 同八年四月井上篤太郎、田村周蔵両氏取締役に、宇都宮政市氏監査役に各就任す。(p20)

社内の整理漸く成るのときに於て、会社は、大正九年四月十九日、創立満十周年の記念日を迎へたり〈中略〉
この十周年記念に際し、印刷配布したる「創立満十周年史」の巻頭、植村社長の辞は、当時の社況を語り、
又会社の主義綱領を窺知し得べきものを以て左にその全文を掲ぐ

 当会社は既に創立以来満拾年に達したり 其間幾多の困難に遭遇したるが
 近時漸く順調に向かふこととなりたるは 株主各位と共に大に慶賀すへき所なり
 其営業状態は別表の如くにして 当事者にして経営方針を誤らさる限りは
 尚今後に此成績を維持することを得べしと信す
 今現に計画しつつある所のものは 電車の拡張に於ては
 新宿線、駒込線、板橋線、池袋線、白髭橋線、田端線等の新設なるが
 其宜しきに従って 漸次歩を進めざるべからず

 飛鳥山に於ける大塚三ノ輪両線の連絡工事は準備悉く成り 本年末迄には完了の予定なりしが
 鉄道院に於ける王子駅拡張計画変更の為めに工事を中止するの止むなきに至り
 尚両三年間連絡の遅延する事は誠に遺憾なりと雖ども
 為めに王子町市外内に吾軌道を延長することを得るの機会に接したるは 他日却て大に利するの時あるべし
 而して電燈電力の供給は常に其増加拡張に留意しつつあれば 従て諸般の不良に不断資金を固定するの必要あるが故に
 利益の増加と共に努めて基礎の堅実を計りて 以て徐ろに成績の向上を期せざる可らず 今や満拾年に際して
 聊いささか其祝意を表し茲ここに拾年間の経過を録して既往を追懐するの紀念に供すと云爾

   大正九年四月十九日
                           取締役社長 植 村 俊 平 (p22)



 翌十五年東京電力株式会社が東京進出、東京電燈株式会社と激烈なる営業競争を開始し、その一手段として、
大正生命及び森村両系の当社株式を肩替したるため、昭和二年六月新藤甲兵氏監査役として、
同年十二月松永安左エ門氏取締役として入社、その後東京電燈が東京電力を合併したるに依り、
本社の資本系統は、東邦系、東電系、大正生命系の三大株主を有するに至れり。(p29)
 昭和二年十一月取締役植村俊平氏辞任、取締役金光庸夫氏社長に就任、
同年十二月松永安左エ門氏取締役に就任、男爵森村開作氏相談役を辞退、植村俊平氏を相談役に推薦す。(p30)

 昭和九年十一月、東邦證券会社所有株式約六万二千株、
東京電燈株式会社に肩替り、その従前の分と合わせて約十一万株となり、
同年十二月、監査役宮川竹馬氏辞任、取締役金光庸夫、小平保蔵、廣橋嘉七郎、井上篤太郎
田村周蔵、佐々田懋、松永安左エ門の諸氏任期満了につき改選の結果、
金光庸夫、小平保蔵、佐々田懋、松永安左エ門の諸氏重任、
河西豊田郎、新井章治の両氏取締役として、本間利雄氏監査役として各入社、
取締役廣橋嘉七郎、井上篤太郎、田村周蔵、監査役宮川竹馬氏退任して、
東京電燈株式会社の傍系会社となる。(p36)


松永安左エ門さんは「電気王」といわれた人らしいですね。
電気事業に依存する内に電力会社に株を預けるようになる流れは、京王と一緒ですなぁ。

要約すると、森村さんと和田さんが、王電の株を取得し、相談役となるのが大正五年十月
和田さんは大正十三年三月に、森村さんは昭和二年十二月にこれを退いています。
和田さんはその年に亡くなられているので、その関係でしょう。
地の文にはないですが、井上さんもこの頃、相談役になっていて、大正六年十二月~大正七年十二月まで務めています。
で、大正八年四月取締役となり、昭和九年十二月の任期満了まで務めています。

京王と王子の合併の噂記事が大正七年六月二十五日、下高井戸線の記事が大正十三年八月二十九日ですから、がっつり任期が重なりますね。


で、さらに国立公文書館のデジタルアーカイブに

「王子電気軌道目白、下高井戸間延長線特許方に関し野方町長深野亀太郎外20名提出陳情書供覧の件」大正13年11月07日

「王子電気軌道野方町、下高井戸間軌道敷設願却下の件」昭和9年05月05日


という二つの項目があります。
上は下高井戸線の記事が出た頃ですね。
で、下がどうもその計画が却下されてしまったらしい題目。
井上さんが、取締役を退くのはその直後ですから、責任を持って見届けたという形なんでしょうね。

というわけで、森村、富士瓦斯、井上さんらが下高井戸大集合を画策していたらしいということ。計画は相成りませんでしたが、今残っている馬車軌間の路線が、一時期同じ系列の資本に入って、合併の動きさえ見せていた事は、今となっては不思議な因縁を感じますね。


ちなみに、その時期の社長、植村さんが「創立満十周年史」で云っている紫の部分、『王子電気軌道三十年史』では(中略)になっているんです。略すると云うほどの量でもない気がするのですが。
つまり、王電にとってこの計画線って黒歴史、元気のいい時にちょっと調子こいちゃった、恥ずかしい!ってことで削除されたんでしょうか・・・(笑)
新宿線ていうのは多分、京王との合併記事の所に出ていた新宿停車場へのルートの事なのではと。で、特許自体は明治四十五年七月にもうとってあったっぽい?


「白髭橋線」というのは、三ノ輪線を延長する計画だったんだろうなと。
もっと時代が下って、京成に白髭線というのがありましたが、そこと繋がる事を王電側も考えていたかも知れませんね。

余談ですが、京成の上野線?は筑波高速度電気鉄道という、もとは別の会社の免許線だったという。都心に乗り入れたいと焦る京成は、疑獄事件まで起こしたらしいですが、そこの免許を譲ってもらう事で、ようやく上野までいけたので、押上線は本線格まで譲っちゃって、ずいぶん甘やかして育てたんではないだろうかと、妄想。「育て方まちがえたかも・・・」今では、ちょっぴり後悔している押上線。

浅草線が、千葉側から開業する事になって西馬込の車庫が使えず、京成から借りていた旧向島駅跡というのは、この白髭線の廃線後のものだったのですね。

おかげでちょっぴり、浅草線と京成の関係が掴めたような気がします。

当時の新聞、面白いです。他にもいろいろあったので、これからちょいちょい、記事にしていこうと思います。>

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