たまろぐ 京王さんと王子さん 忍者ブログ

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テツ的あれこれ妄想牧場。(※路線≒会社の擬人化前提注意です) 最近は管理人の備忘録と化してます。
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今日から荒川ふるさと文化館で荒川線についての企画展示が始まりますね。

それに先駆けてじゃないけど、ちょっと予習。
前に、京王OBの清水正之さんが著書で「下高井戸に今の荒川線、王子電車がやってくる計画があった」というのを見て「まじかyo!」とその詳細をさがしたところ、ネットの検索でおおよその答えが載っていたので、その一次資料を自分も参照してきました、という報告。

東京朝日新聞の大正13年8月の記事で、ヒントというか答えが書かれていたのは個人のブログなのですが、その出典元となっている神戸大学附属図書館さんでネット文章化済みでした。要するに朝日新聞の東京版ですね、それに載っていたと。
大きな図書館であれば、縮刷版で合本?されているので、参照は容易でした。
東京都立図書館のほうに「東京朝日新聞 縮刷版」というのもありますが、やはり内容は同じでしたので、ここはより見やすい復刻版の方を。
旧漢字は現行のに直してますが、旧仮名遣いはそのまんまです。
あと、読みやすいように、地名には勝手にスペースいれちゃってます。




「市を囲繞し大蜘蛛の網 数多私設軌道の計画 実現可能のものでも十線」
 大正十三年八月二十九日(金曜日)


最近に於ける府下町村の発展著るしく殊に震災以後省電其他既設交通機関の沿線は
疾風の勢ひで市街化しつつあるので早くも私設軌道会社は其他の方面への電車敷設を計画し
 ・ ・ ・ ・
 王子軌道 は大塚終点から巣鴨刑務所前 高田町 雑司ケ谷 鬼子母神下 学習院下を
 経て落合町に入り杉並町 省電高円寺駅前を通過して京王電車終点下高井戸への連絡を計画

 高田 西巣鴨 両町間は予定線の敷設買収を了し雑司ケ谷附近の家屋取払中である
 ・ ・ ・ ・
 玉川電気 は三軒茶屋停留場より分岐し世田ケ谷 豪徳寺裏 松澤村 赤堤手を経て同じく
 下高井戸京王終点に至る十余哩の支線
 ・ ・ ・ ・
 京濱電気 は品川八ツ山の終点を発し市電の軌道を共用して品川駅前に至り毛利邸裏、
 北品川白金猿町、大崎町白金火薬庫跡伊達跡、渋谷町羽澤を経て青山学院横から市電を横断
 大山公爵邸西側を経て明治神宮裏千駄ケ谷町字源氏山迄の延長(内毛利邸裏白金火薬庫まで地中線)
 を予定し玉川電気は世田ケ谷松沢の敷地買収、京濱電気は八ツ山発電所の敷地買収、
 省電品川駅前の停留所新設工事に着手した
 ・ ・ ・ ・ ・ ・
 目黒蒲田電鉄 は奥澤ステーションより玉川電車終点に至る支線を出願中
 
この外ほか大森蒲田両駅(省線)中間を発した入新井馬込平塚(字蛇窪)大崎町五反田を迂回して
品川に至り市内を経て南葛飾郡亀戸町に至る東京地下鉄道、
目黒、蒲田電車玉川停留場から中原村を経て横濱程土ケ谷に向ふ東京横濱電気軌道、
池袋を起点として大塚辻町、護国寺市電終点、早稲田終点の三つに通ずる武蔵野鉄道会社関係者の
市内郊外連絡線があり 資本金千五百万円を以て設立の
 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
 小田原急行電鉄 は新宿青梅町道口(目下専売局のある所)を起点として省電に併行して南進、
 千駄ケ谷町山本唯三郎氏の邸内を斜に青山練兵場に出で八幡下、大山公園南、代々幡 代田橋両側
 世田ケ谷 豪徳寺裏、経堂在家 北多摩郡千歳 砧の二村を経て喜多見台より狛江村を経て
 神奈川県稲田 生田 柿生の三村を通り南多摩郡鶴川村町田町を経て小田原に向ふ
 此間延長八哩は一哩毎に停留場が設けられ南北多摩と市内との連絡はこれに依って完全に実現される

又代々木自動車会社では渋谷駅前より駒場道に沿ふて
京王電車の幡ケ谷停留場附近に至る電車敷設を計画中で
この外武蔵電気鉄道が十数年前から計画して居る東京横濱間の高速度電車及目黒(碑文谷)より
新宿に通ずる予定線があるけれども東京横濱間のそれは既に東京横濱軌道のものとなり碑文谷 新宿間を
同会社に買収されぬ限り実現不可能で問題でなく以上実現可能のものだけを総計すると
十線延長約数十哩立派な交通網が出来る訳である、其の計画左図の通り


赤くした文字の所が問題の計画線。地図を参照すると下高井戸までがっちり伸びてますね-。
玉川電気で計画されているのが現・世田谷線で、小田急、東横と一緒の同世代。
目蒲電車の計画線は大井町線の事だよな・・・?多分。
出願は早かったのに、後から計画された省線の品鶴線に先を越されて建設されてしまい、かわりに橋を架ける補償費をぶんどったという・・・。さすがやり手です。
東横線に至っては、全国を対象とする鉄道・軌道が六分配当できるようになるまで政府が出してくれることになってる、補助金の総額三百万円の半分以上を実は一割位の配当が出来るにもかかわらず、昭和12年までもらっていたとか。
しかも、それの期限が切れそうだからと、こんどは玉川を合併しちゃう自分勝手さ。
お、おまええええええ!(笑)

補助金をもらえなかった京王(玉南)が聞いたら、発狂しそうです。
そして、大正13年なら京王の玉南鉄道だって、計画というかもう建設に入ってると思うんですけど、地図にない・・・どういうこった!#

東横線も、本当は省線と並行してる(というよりはショートカット?)から条件は厳しいはずなんですけどね、、、五島さん、「昭和6年に病気療養中の江木(翼)鉄相を尋ねて補助金の交付方を嘆願・懇請し、江木鉄相は下級官僚の反対を押し切って、全国私鉄補助会社中最高額の交付を決断した」らしい。結局は、コネか!!
(このとき「軽便鉄道補助法に基づく年五分の補助金を」って書いてあるけど、地方鉄道法が交付されたあとだから地方鉄道補助法の間違いだよね…たぶん)

ところでこの記事の、最後の文章がイマイチ理解できないんですけど「東京横濱軌道」ってなんなんでしょう。そこがもう免許持ってるから、十数年来計画している武蔵電気鉄道(今の東横)のは実現不可能ですよって云ってるんでしょうか。
でも、地図にはやる気のない文字で「東京横濱電気道予定」って書いてあるから、ここも何か勘違いしたんでしょうかね。

確かに、明治43年6月に武蔵電気鉄道が設立されたから、五島さんが入る大正9年5月まで10年位間がありますが。長くなりそうなので、ここは別記事にて。


 

さて、こちらが追加事項。おなじく朝日新聞の、ちょっとさかのぼって大正七年の記事ですね~。


「●郊外電車計画 ▽王子京成の合併」大正七年六月二十五日(火曜日)


東京市外の王子電車軌道会社並に京成電気軌道会社等の郊外電車鉄道は久しく経営困難に苦しみつつありしが
両社共近年森村銀行系及び富士瓦斯関係者の入りて大株主となり重役を更迭して自社関係者を出し経営せしむるに及び幾分其経営方法も改善せられたると共に両社の実権者たる森村、富士瓦斯関係者間には両社の合併計画を開始し其第一着として王子電軌の発車場たる大塚と京成電鉄の新宿発車場とを連絡せしむる目論見を立て
目下精細調査中なるが此計画は現在の大塚駅より院線電車の市内寄りに於て略之と併行して
雑司ケ谷、目白、高田、大久保等を経て新宿の京成電車発車場に至る約七哩間に電車を敷設せんとするものなり
唯ただ土地買収に多少困難ある模様なるが完成の暁には該郡部方面は非常の便利を受くるに至るべしと


「王子京成の合併」とかいってますが、十中八九「王子京王合併」の間違いです。
荒川線は町屋で京成と交差してるからな~、地域的にも東京北部側だし、間違えても仕方ないとは・・・いや
新宿という地名も、あちこちにありますし、これが内藤新宿でない可能性もありますが「雑司ケ谷、目白、高田、大久保等を経て新宿」って書いちゃってますもんねぇ。
ここまで来といて、なぜ京成と京王を間違うのかと。

答えは、京王がどマイナーだからです(;艸)
そりゃあ、当時の京成様は、東武に次いで大手だろうしさ・・・。

京成の社史は読んだ事がないのですが、この時期に「森村銀行系及び富士瓦斯」の資本が入っていると云ったら、やっぱり京王か玉川でしょう。

次の記事で王電の社史を確認してみます。

と、その前に、右の記事はおまけのその当時の富士瓦斯紡績の配当金模様。
鉄道だと、ちょっと良くて一割くらいのなか、五割配当ってイケイケだな、と思ったけれど、隣のカネボウが七割なので上には上がいるなと。


「●富士紡 配当 五割」大正七年六月六日(木曜日)

富士瓦斯紡績今期純利益は前期に比し百三十余万円増の五百三十一万八千百三十六円にして
五日の重役会に於いて株主配当を年五割(一割五分増)と決し 来る二十日午後一時より
箱崎町出張所に株主総会開会の筈 即ち左の如し


のちに京王の大株主となる大日本電力(北海道電力)はもともと富士製紙の電気部門だったそうですが、富士瓦斯紡績→富士製紙→北海道電力という流れだったんだろうか・・・。

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